手術手技
腹腔鏡下胃全摘術におけるOverlap吻合を用いたRoux-en-Y再建の定型化と工夫
北上 英彦
1
,
丹羽 弘貴
1
,
橋本 将志
1
,
坂下 啓太
1
,
吉川 智宏
1
,
細川 正夫
1
キーワード:
Overlap 吻合
,
食道空腸吻合
,
腹腔鏡下胃全摘術
Keyword:
Overlap 吻合
,
食道空腸吻合
,
腹腔鏡下胃全摘術
pp.83-88
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000000541
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腹腔鏡下胃全摘術(laparoscopic total gastrectomy;LTG)は系統的リンパ節郭清を伴った胃切除,切除後の再建ともに高度な技術が必要で,腹腔鏡手術のエキスパートにとっても困難な手術の1 つである。そのため現在でも,腹腔鏡下幽門側胃切除のように普及しているとはいえない。LTG の再建は開腹胃全摘手術同様にRoux-en-Y再建(RY)が一般に行われており,とくに食道空腸吻合に関してはさまざまな方法,工夫が報告されている1-7)。食道空腸吻合は使用するデバイスによりCircler staple(CS)法とLinear staple(LS)法に大別される。CS 法は通常の開腹手術で用いてきたCS を応用して腹腔鏡手術に適用している。それに対しLS 法は腹腔鏡手術のために開発されたユニークな手技である。われわれは①食道,空腸の口径に関係なく使用できる,②ポートからの挿入が可能で腹腔鏡下で使用しやすい,③細く視野の確保がしやすい,ことを理由にLSをLTG の再建に適したデバイスとして選択した。しかし,腹腔鏡手術に有利な点があるにもかかわらず,LS によるRY 再建は食道空腸縫合不全,狭窄,内ヘルニア,十二指腸断端瘻など重篤な合併症が報告されており,いまだに工夫が必要である8,9)。われわれはそれらの合併症対策として吻合部の直線化,挙上空腸の過度の可動性の防止,十二指腸断端の被覆,腸間膜間隙の閉鎖などの工夫を加え,Overlap 法(OL)を定型化した。本稿ではわれわれが行ってきたOL によるRY の手技とその工夫を解説する。
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