手術手技
舌骨下筋群・頸神経ワナを温存した食道癌頸部郭清術
河野 文彰
1
,
武野 慎祐
1
,
田代 耕盛
1
,
池ノ上 実
1
,
七島 篤志
1
1宮崎大学医学部外科学講座
キーワード:
嚥下障害
,
舌骨下筋群
,
頸神経ワナ
Keyword:
嚥下障害
,
舌骨下筋群
,
頸神経ワナ
pp.1323-1328
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002895
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食道癌術後の嚥下障害は,患者のQOL(quality of life)の低下だけでなく生命予後を損なう大きな要因である1)。とくに誤嚥に伴う肺炎は時として重篤化し致死的な状態にもなり得る。近年のわが国の報告によると,反回神経麻痺の発生率は10~15%程度とされているが2),実際にはさらに多くの食道癌術後症例が嚥下障害をきたしていると推測される。嚥下障害の主たる原因は,反回神経の麻痺に起因する声帯運動不全に伴うことが多いとされるが,術後の喉頭の運動障害も大きな原因としてあげられる3)。これは,頸部の手術操作に伴う前頸筋の瘢痕や拘縮,頸部神経の麻痺による舌骨や甲状軟骨の運動制限が生じるためとされている4)。
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