特集 上部消化管手術におけるトラブルシューティング─困難症例・偶発症への対策
食道癌手術における術中肺静脈損傷に対する対処
能城 浩和
1
,
池田 翔太
1
,
梶原 脩平
1
,
與田 幸恵
1
1佐賀大学一般・消化器外科
キーワード:
食道切除術
,
術中偶発症
,
肺静脈損傷
Keyword:
食道切除術
,
術中偶発症
,
肺静脈損傷
pp.1091-1097
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002284
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胸部食道癌手術の胸部操作においては広範囲な縦隔郭清を行うために,縦隔内重要臓器との剥離や切離操作が伴い,それらの術中損傷による偶発症を招く危険性が常に存在する。近年,低侵襲手術が広く普及し,拡大視効果により精緻で出血の少ない手術が可能になってきているが1-3),視野は限定され,触覚に乏しく,鉗子の操作性に制限がある手技であり,偶発症に対しては開胸手術と比べて安全性に劣ると一般的には理解されている。しかし,解剖の理解と適切な手術手技,さらには偶発症に対する対処法をあらかじめ熟慮想定することにより,重篤な合併症を回避また対処することもある程度可能である。本稿では食道癌手術における肺静脈損傷の対処法を,主に腹臥位で行う胸腔鏡およびロボット手術を中心に解説する。
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