特集 消化器・一般外科におけるCommon Diseaseの手術 エルステから高難度まで
Ⅲ 鼠径部ヘルニア手術 11 TEP法
川原田 陽
1
,
佐藤 大介
1
,
宮坂 衛
1
,
鈴木 善法
1
,
北城 秀司
1
,
奥芝 俊一
1
1国家公務員共済組合連合会 斗南病院外科
キーワード:
腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術
,
TEP
,
腹膜外腔アプローチ
Keyword:
腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術
,
TEP
,
腹膜外腔アプローチ
pp.643-654
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002166
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腹膜外腔アプローチによる腹腔鏡下鼠径部ヘルニア根治術(totally extraperitoneal repair;TEP)は,腹腔内操作をせずに,腹膜外腔を剥離してスペースを作成し,メッシュを留置する術式である。最終的にメッシュを留置する部位は腹腔内アプローチによる腹腔鏡下鼠径部ヘルニア根治術(transabdominal preperitoneal repair;TAPP)とほぼ同じであるが(図1),通常見慣れた腹腔内からアプローチするTAPPに比べて,アプローチのイメージが沸きにくく,解剖の理解に慣れを要すると言われる。しかしながら,TEPはTAPPのような腹膜の切開,縫合閉鎖を必要とせず,気嚢のtractionを利用して剥離を進めることができる合理的な手技である。また,剥離して,メッシュを展開する部位はほぼ同等であり,TAPPの解剖知識と手技があればTEPも十分可能と考える。両方の手技に精通しておくことで,鼠径部の解剖とヘルニアの理解が深まり,治療戦略の選択肢も増えるため,ぜひ知っておきたい手技である。
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