特集 消化器外科手術の論点2020 誌上ディベートと手術手技
肝胆膵外科 18 膵頭十二指腸切除後の再建法
山田 豪
1
,
松井 淳一
2
1名古屋大学消化器外科2
2東京歯科大学市川総合病院外科
pp.657-657
発行日 2020年3月31日
Published Date 2020/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001654
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膵頭十二指腸切除(PD)後の再建方法としては,歴史的にWhipple法,Cattel法,Child法がよく知られた方法である。一方,わが国では,今永法が報告され,PD後の再建法として使用されてきた。膵癌取扱い規約では空腸口側からの吻合順によりⅠ型からⅣ型まで分類されるが,Ⅱ型(膵,胆管,胃の順に吻合:Child法)とⅢ型(胃,膵,胆管の順:今永法)が一般的である。Child法と比較すると,今永法の最大の特徴である生理的再建経路はホルモン環境や長期的な栄養状態に寄与する可能性があるが,明確なエビデンスに乏しい。また,食物が直接,膵空腸,胆管空腸吻合部を通過することは,膵液瘻や胆汁漏が発生した場合には大きなデメリットとなり,近年はダブルバルーン内視鏡により術後に膵空腸,胆管空腸吻合部を観察することも十分に可能である。
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