特集 肝胆膵外科手術におけるトラブルシューティング
Ⅲ.膵臓 6)重粒子線治療後の膵癌に対する膵頭十二指腸切除術
土井 隆一郎
1
,
豊田 英治
1
,
阿部 由督
1
,
甲津 卓実
1
,
北口 和彦
1
,
廣瀬 哲朗
1
1大津赤十字病院外科
キーワード:
炭素イオン療法
,
陽子線療法
,
粒子線療法
Keyword:
炭素イオン療法
,
陽子線療法
,
粒子線療法
pp.1081-1089
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001268
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膵癌の治療法は大きく,①手術療法,②化学療法,③化学放射線療法に分類できる(表1)。従来から診断時の画像評価に基づいた病期診断にしたがって,これらのなかから治療法を選択するのが基本的な治療戦略であった。一方,有効な膵癌化学療法薬の登場によって,切除不能膵癌(unresectable;UR)と判断された患者に対し,化学療法や化学放射線療法による治療を行い,UR因子の軽減が得られた場合には,すかさず手術切除を行う,という集学的なコンバージョン手術(conversion surgery)の実施例が報告されるようになってきた。さらには,切除可能境界膵癌(borderline resectable;BR)に対しても,化学療法や化学放射線療法を先行したうえで手術切除を行う,という計画的な術前補助療法(neoadjuvant therapy)が生存期間を延長するのではないかと期待されている。術前,術後のいずれであっても,有効と考えられる治療を可能なかぎり受けることができた患者が長期生存できる,ということが明らかになってきたのである。
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