特集 高度進行消化器癌に対する手術
Ⅲ 肝・胆・膵 5 門脈腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対する肝切除の適応と手技
山崎 慎太郎
1
,
高山 忠利
1
1日本大学消化器外科
キーワード:
脈管侵襲
,
pealing-off法
,
血行再建
Keyword:
脈管侵襲
,
pealing-off法
,
血行再建
pp.541-547
発行日 2019年3月31日
Published Date 2019/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001142
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門脈腫瘍栓に代表される脈管侵襲は,腫瘍径および個数とともに予後不良因子としてTNMステージ分類のT因子の1要素として知られる1)。肝細胞癌の治療は腫瘍と肝機能の両因子のバランスで決まり,肝機能良好症例であっても門脈本幹から対側に進展する高度門脈腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌(高度門脈侵襲肝癌)では,非癌側の血流が腫瘍栓により遮られることで,急激に肝機能が悪化し,治療選択枝が狭まる主因となる。わが国で解剖学的肝切除は経門脈転移を制御し局所再発予防に貢献するといわれ,『肝癌診療ガイドライン2017年版(第4版)』においても「門脈一次分枝までの門脈侵襲例は手術適応としてよい」とされる2,3)。しかし,高度門脈侵襲肝癌に対する有効な治療法は定まっておらず,肝癌治療において残された課題の1つといえる。
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