特集 高度進行消化器癌に対する手術
Ⅲ 肝・胆・膵 8 右房内腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対する人工心肺使用下肝切除
高橋 一広
1
,
倉田 昌直
1
,
佐藤 藤夫
2
,
茂木 芳賢
3
,
小田 竜也
1
,
大河内 信弘
1
1筑波大学消化器外科・臓器移植外科
2筑波大学心臓血管外科
3筑波大学附属病院医療機器管理センター
キーワード:
肝細胞癌
,
右房内腫瘍栓
,
人工心肺
Keyword:
肝細胞癌
,
右房内腫瘍栓
,
人工心肺
pp.567-578
発行日 2019年3月31日
Published Date 2019/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001145
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右房内腫瘍栓を伴う肝細胞癌症例は,三尖弁閉鎖による心不全や腫瘍栓の飛散による肺塞栓症により,突然死を招くことがあり,いわゆる準“oncologic emergency”として扱われる1)。予後もきわめて不良であり,無治療での中央生存期間は1~4カ月と報告されている2)。右房内腫瘍栓を伴う肝細胞癌症例に対する外科的治療は,2000年代までは手術の安全性から適応となることが少なかったが,肝臓外科解剖学知識の蓄積,医療機器の進歩,術中麻酔管理技術の向上,および周術期管理の改善により,近年はこのような進行肝細胞癌に対しても,積極的に外科治療が行われるようになった。手術により,突然死を予防できるだけでなく,切除後2年以上の長期生存例も報告されている3)。
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