特集 誌上ディベート肝胆膵外科におけるcontroversial surgery
3.両葉多発大腸癌肝転移に対する肝切除 2)Major hepatectomyの立場から
酒井 望
1
,
吉富 秀幸
1
,
古川 勝規
1
,
高屋敷 吏
1
,
久保木 知
1
,
大塚 将之
1
1千葉大学大学院臓器制御外科学
キーワード:
両葉多発転移
,
ALPPS
Keyword:
両葉多発転移
,
ALPPS
pp.290-297
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001089
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
大腸癌肝転移に対する治療法のgold standardは外科的切除である。近年の化学療法,新規分子標的治療薬の進歩は予後向上に大きく寄与しているが,これだけで治癒,あるいは長期生存を期待することは現時点では困難であり,タイミングは症例ごとに異なるとしても,集学的治療のどこかのポイントで「切除」を行うことではじめて治癒が期待できる。切除の術式は腫瘍の個数,大きさ,局在と残肝機能などいくつかの因子によって決まってくるが,基本的には腫瘍の露出なく腫瘍だけが切除できればよく,将来的な再切除も視野に入れて実質温存術式を選択することの有用性が近年報告されている1-4)。一方,両葉多発肝転移の場合は解剖学的な葉切除,3区域切除などのmajor hepatectomyを選択するあるいは選択せざるを得ない場合もある。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.