手術手技
腸回転解除法を用いた膵頭十二指腸切除術(PD)とICG蛍光法を用いたmesopancreasのリンパ流の同定
松木 亮太
1
,
杉山 政則
2
,
小暮 正晴
1
,
鈴木 裕
1
,
阪本 良弘
1
,
阿部 展次
1
1杏林大学消化器・一般外科
2独立行政法人労働者健康安全機構東京労災病院
キーワード:
腸回転解除法
,
mesopancreas
,
ICG蛍光法
Keyword:
腸回転解除法
,
mesopancreas
,
ICG蛍光法
pp.1881-1887
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000000970
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Mesopancreasとは,膵頭部,十二指腸,上部空腸と上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;SMA)との間の間膜を指す呼称で,間膜の内部には下膵十二指腸動脈(inferior pancreaticoduodenal artery;IPDA),SMA周囲リンパ節,膵頭神経叢第Ⅱ部が含まれる。膵頭十二指腸領域に発生する悪性腫瘍,とくに浸潤性膵管癌では,この部位への直接浸潤やリンパ節転移がしばしば認められ,膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;PD)において,R0切除を達成するためには,mesopancreasの確実な切除が重要となる。また,mesopancreasの内部に存在するIPDAを先行処理することで膵頭部のうっ血を防止し,術中の出血量を軽減することにもつながる。しかしながら,mesopancreas切除およびIPDA切離は解剖学的な複雑さによりやや困難である。これは,胎生期の腸回転によりmesopancreasが螺旋状の解剖学的構造を取るためである。われわれは1995年よりPDの手術手技を容易にすることを目的として,mesopancreasの単純化のために,後述する腸回転解除法を用いた術式を行ってきた1)。
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