乳癌治療後に生じたEccrine Poromatosisの1例

Eccrine poromatosis in a patient with breast cancer

83歳，女性。2009年に左乳癌に対して手術療法，術後化学療法，放射線照射および5年間のホルモン治療を施行された。詳細な時期は不明だが，治療後左下腿後面と左腋窩に紅色小結節が出現し，さらに臀部や大腿にも類似の結節が出現したため，2022年6月に当科を受診した。左下腿および左腋窩の結節を切除し，組織学的にエクリン汗孔腫であった。国内外の多発性エクリン汗孔腫の報告は40例以上あり，その多くが既往に悪性腫瘍を有するが，造血器腫瘍が大半を占め固形癌の報告は少ない。また多発性エクリン汗孔腫の発生機序は不明で，過去の報告では化学療法や放射線療法との関連が推測されているが，今回ホルモン療法の影響についても考察した。