転移性皮膚癌の高齢男性の2例

Two elderly men with metastatic skin cancer

症例1：72歳，男性。2年前，肺扁平上皮癌に罹患し，2～3週間前より左鼠径部にクルミ大の赤褐色結節と大豆大の皮下結節が出現した。全摘生検施行後の病理組織像で真皮から皮下脂肪組織に大型で異型性核をもつ腫瘍細胞が巣状，索状に増加し，免疫染色でp40（＋），CK7（－），Napsin A（－），CD56（－）より，転移性扁平上皮癌と診断した。肺癌発見後2年3カ月，転移部摘出術後2カ月で死亡した。症例2：85歳，男性。2年9カ月前に胆管癌切除術を行い，2～3年前より左腋窩部にくるみ大の有茎性結節が出現した。全摘生検の病理組織像は真皮から皮下脂肪組織表層に核異型性の腫瘍胞巣を多数認め，腺腔構造（＋）であった。胆管癌の皮膚転移と診断した。6年余，再燃・再発はない。鼠径部で多発性の肺癌の皮膚転移は比較的まれで，胆管癌の皮膚転移はさらにまれと考えられた。