肛囲に生じた線状基底細胞癌の1例

Perianal linear basal cell carcinoma

72歳，女性。初診の3カ月前に外科で肛囲の黒色皮疹を指摘され，当科を受診した。肛門9～10時方向の皺に沿って4×1mmと5×1mmの線状の黒色斑を2個認め，全切除術を施行した。病理組織学的に表在型の基底細胞癌の所見であり，臨床像から線状基底細胞癌と診断した。渉猟した限り，肛囲に発生した線状基底細胞癌の報告例はなかった。肛囲の腫瘍は気づかれにくいが，肛門の皺壁に沿った黒色斑をみた際は，線状基底細胞癌の可能性を考える必要がある。