大型の斑状紫斑を呈したIgA血管炎の小児例

Infantile IgA vasculitis showing large ecchymoses

1歳，男児。中耳炎に罹患後，下肢に紅斑が出現した。次第に紫斑を伴い，顔面を含む全身に拡大した。手拳大までの一部浸潤を触知し，濃淡が混在する大型の斑状紫斑が多発した。経過中，粘血便などの消化器症状があったが，関節痛や腎症状はなかった。大型の斑状紫斑から蕁麻疹様血管炎，acute hemorrhagic edema of infancyとの鑑別を要した。組織学的には壊死性血管炎の所見であった。蛍光抗体直接法では，真皮上層から中層の血管壁にIgA，IgM，C3の沈着があったが，C1qは陰性であったこと，消化器症状の合併や凝固第XIII因子の低下がみられたことからacute hemorrhagic edema of infancyではなくIgA血管炎と考えた。