検診での血清Carcinoembryonic Antigen高値を契機に診断に至った特発性後天性汎発性無汗症の1例

Acquired idiopathic generalized anhidrosis in which elevation of serum carcinoembryonic antigen concentration led to the diagnosis

35歳，男性。検診にて血清carcinoembryonic antigen（CEA）濃度の上昇を指摘されたが，全身検索にて腫瘍は認められなかった。詳しく聴取すると前年夏より発汗低下とうつ熱症状を認め，発汗テストで全身性の無汗症を呈した。精査にて特発性後天性汎発性無汗症と診断し，ステロイドパルス療法にて治癒した。無汗症において血清CEAが病勢マーカーとなる可能性が指摘されており，自験例でも特発性後天性汎発性無汗症による血清CEA上昇と考えた。検診などでのCEA測定による腫瘍の陽性的中率は2.0～7.5％と低く偽陽性が多いが，偽陽性群には特発性後天性汎発性無汗症患者が含まれている可能性があり，無汗症に関する問診や検索を積極的に行うことは自験例のように特発性後天性汎発性無汗症の早期診断，治療につながるかもしれない。