特集 悪性上皮系腫瘍
表在型基底細胞癌の中心治癒にCD8+T細胞が関与したと考えられた1例
石川 雄一
1
,
吉田 亜希
1
,
角田 加奈子
1
,
大西 正純
1
,
渡部 大輔
1
,
前田 文彦
1
,
高橋 和宏
1
,
赤坂 俊英
1
1岩手医科大学,皮膚科学講座(主任:赤坂俊英教授)
キーワード:
基底細胞癌
,
表在型
,
中心治癒
,
自然消退
,
背部
Keyword:
基底細胞癌
,
表在型
,
中心治癒
,
自然消退
,
背部
pp.1379-1382
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000152
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61歳,女性。約2年前に背部に色素斑が出現した。びらん,痂皮形成を繰り返し徐々に色調が薄くなってきた。初診時,背部正中に20×16mm大の中心常色を呈する環状の紅褐色斑を認めた。病理組織学的所見で,基底細胞癌と診断し5 mm マージンで切除した。摘出標本では,リング状の色素斑部に表皮と連続した基底細胞様細胞からなる索状の腫瘍胞巣を認め辺縁に柵状配列を伴っていた。中心の常色を呈する部分では腫瘍細胞はみられず,真皮浅層にCD3+CD8+細胞の密な浸潤および小血管の新生がみられ消退後の組織像と考えた。自験例は,中心部が完全に自然消退を示しリング状の皮疹を呈した表在型基底細胞癌であり,興味深い症例と考えた。
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