特集 真菌症
急速な頰部皮膚虚血を示したムコール症の1例
白石 英馨
1
,
吉田 亜希
1
,
石綿 一哉
2
,
山本 豪
2
,
谷口 修一
2
,
小山 一
3
,
井下 尚子
4
,
林 伸和
1
1虎の門病院,皮膚科(主任:林伸和部長)
2同,血液内科
3同,耳鼻咽喉科
4同,病理診断科
キーワード:
ムコール症
,
免疫抑制
,
副鼻腔
,
急性侵襲型
Keyword:
ムコール症
,
免疫抑制
,
副鼻腔
,
急性侵襲型
pp.1123-1126
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000077
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57歳,女性。急性骨髄性白血病に対して同種臍帯血移植を行った。移植片対宿主病のため免疫抑制中。初診の11日前に右副鼻腔炎および右顔面に疼痛と紅斑,腫脹が出現。紅斑は急激に拡大し,紫斑や虚血を伴った。病理組織学的には,幅広く隔壁のない菌糸が血管腔内から皮下組織に無秩序に増殖していた。PAS 染色,Grocott 染色陽性。血中β-Dグルカン陰性。症状出現から約3 週間で急激な全身状態の悪化により死亡した。副鼻腔の生検でも同様の所見があり,急激な経過をたどったことより鼻脳型ムコール症と診断した。免疫不全患者の診察に際し,注意すべき疾患のひとつと考えた。
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