私の経験
視神経炎との鑑別に苦慮した心因性視覚障害の1例
齋藤 勝広
1
,
近藤 拓馬
1
,
髙橋 洋平
1
,
安里 輝
1
,
龍井 苑子
1
,
石川 均
1
,
庄司 信行
1
1北里大学病院眼科
キーワード:
心因性視覚障害
,
視神経炎
,
小乳頭
,
両眼開放自動視野計
Keyword:
心因性視覚障害
,
視神経炎
,
小乳頭
,
両眼開放自動視野計
pp.285-291
発行日 2026年3月5日
Published Date 2026/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004593
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視神経炎との鑑別に苦慮した心因性視覚障害の1例を経験したので報告する。患者は8歳女児。学校検診で左眼の視力不良を指摘され(第0病日),第17病日に近医を受診した。左眼視神経炎が疑われ,第18病日に当科紹介となった。初診時所見は右眼は異常なし。左眼は視力0.1(矯正不能),眼球運動時痛,視神経乳頭発赤,限界フリッカ値低下,中心暗点の所見があり視神経炎を疑ったが,対光反射は迅速・完全であり入力障害を示す所見はなく,視力低下と乖離した生活動作が観察されたため当日の治療介入は見送り,待機的に精査する方針とした。第21病日には左眼の視力は0.02(矯正不能)まで低下し,同日施行した眼窩単純MRIでは左眼視神経-球後移行部に異常信号ともとれる所見が確認されたがほかのスライスとの連続性はなく,移行部の正常な解剖学的変化と考えられた。第22病日には左眼光覚なしとなったが,左眼の視運動性眼振は水平・垂直とも検出され,光視標が左右にランダムに呈示される両眼開放自動視野検査の結果は正常であり,この時点で心因性視覚障害を強く疑った。診断を確定するため第27病日に視覚誘発電位を実施したが正常であった。初診時の眼底後極写真を改めて評価すると,左眼の視神経乳頭-黄斑中心窩距離/乳頭径比は3.3と小乳頭であり,左眼視神経乳頭の発赤は小乳頭のためと考えられた。以上より,総合的に本症例を心因性視覚障害と診断した。

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