症例報告
ヘッドマウント型視野計が診断に有用であった心因性視覚障害が疑われた1例
長谷川 岳史
1,2
,
結城 賢弥
1
,
大出 尚郎
1,3
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
2東京歯科大学市川総合病院眼科
3幕張おおで眼科(千葉市)
キーワード:
心因性視覚障害
,
前思春期
,
女児
,
両耳側半盲様視野障害
,
花環状視野障害
,
ヘッドマウント型視野計
Keyword:
心因性視覚障害
,
前思春期
,
女児
,
両耳側半盲様視野障害
,
花環状視野障害
,
ヘッドマウント型視野計
pp.567-573
発行日 2022年6月5日
Published Date 2022/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002661
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症例は11歳の女児で,右眼の耳側視野障害を主訴に近医受診し,視野検査で右眼耳側の視野狭窄を認めたため当科紹介受診となった。当科初診時,裸眼視力は両眼とも1.2で,対光反射・前眼部・中間透光体・眼底・光干渉断層計・色覚検査で眼科的器質性疾患はみられなかったが,視野検査で右眼耳側半盲を認めていた。頭部磁気共鳴画像・頭部磁気共鳴血管造影・視覚誘発電位検査においても視野障害を説明する所見は認めず,臨床所見からは心因性視覚障害が疑われた。経過中に右同名半盲に視野障害の進行を認め,ヘッドマウント型視野計による視野検査を実施したところ,両眼開放下両眼ランダム視野測定では右同名半盲様視野を認め,両眼開放下での右視野測定では右眼の耳側垂直半盲様視野障害を認めたが,左視野測定では鼻側半盲様視野障害を認めなかった。以上より,少なくとも左眼の視野障害は心因性視覚障害の可能性が高いと考えられた。このことから,ヘッドマウント型視野計が心因性視覚障害の診断に有用な可能性が示唆された。
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