私の経験
片眼性心因性視力障害を生じた間欠性外斜視の1例
木内 克治
1
,
辻本 亜梨沙
1
,
細川 芳輝
1
1医療法人 木内眼科(大阪府)
キーワード:
心因性視覚障害
,
片眼性
,
間欠性外斜視
,
他覚的屈折値
,
立体視
,
最大斜視角
Keyword:
心因性視覚障害
,
片眼性
,
間欠性外斜視
,
他覚的屈折値
,
立体視
,
最大斜視角
pp.85-88
発行日 2025年1月5日
Published Date 2025/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004022
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心因性視覚障害は多くの場合,両眼性に発生するが,片眼のみ発症の報告もある。今回我々は,間欠性外斜視の精査を希望し来院した際に片眼の視力障害がみられ,弱視との鑑別に苦慮した心因性視覚障害の症例を経験したので報告する。患者は7歳女児。以前から起床時や疲労時に右眼が外に向くことがあった。複数の医療機関を受診し異常なしなどと診断されたが,その後も上記症状が続くため当院受診となった。初診時所見は視力右0.1(0.1),左1.0(1.0)で,前眼部,中間透光体,眼底に異常所見はなかったが,右眼の眼位は近見が外斜位,遠見が外斜視の傾向にある間欠性外斜視であった。弱視を疑いサイプレジンによる調節麻痺下屈折検査を行ったが,他覚的屈折検査の結果や近見眼位で外斜位が保てていたことから弱視は否定的で,心因性視覚障害を疑いながら視力検査をすると右0.2(1.0×plane×plane)と改善した。60分遮閉による最大斜視角を測定し,測定結果や今後の治療方針を母親に説明すると納得した様子だった。本症例は,間欠性外斜視に対して母親が心配し複数の医療機関を受診したものの納得のいく回答が得られず,母親の傍にいた患児に無意識に精神的負担がかかり,片眼性視覚障害が発症した可能性があると考えられた。
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