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メチルプレドニゾロンパルス療法に反応良好であるが再発を繰り返す抗myelin-oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性視神経炎に対し,免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)によって寛解・再発予防が得られた1例を経験したので報告する。
症例は27歳男性。X−18年に右眼視神経症を発症しメチルプレドニゾロンパルス療法(1,000mgを3日間)によって視力(1.2)まで改善していた。その後,X−13,−11,−4年にも視神経炎の再発がありそのつどメチルプレドニゾロンパルス療法(X−13年は1,000mg,その後の2回は500mgを3日間)により視力(1.2)まで改善した。X−11年の再発時精査の血液検査において抗MOG抗体陽性が判明した。その後,ステロイド内服の後療法を指示されていたが怠薬していた。今回右眼の再度の急激な視力低下,眼球運動時痛を主訴に当科を再受診した。再受診時,右眼視力(0.4),左眼視力(1.2)。右眼は相対的瞳孔求心路障害陽性で,眼球運動時痛を認めた。右眼視神経乳頭の萎縮を認め,眼窩造影magnetic resonance imaging(MRI)脂肪抑制T1強調像において右視神経に限局する高信号域を認めた。
以上の経過,所見からステロイド依存性抗MOG抗体陽性視神経炎の再発と診断した。患者からは今後の長期通院,ステロイド内服継続は困難であるとの訴えがあり,今回研究的治療,保険収載不可の可能性も含め説明し,理解をいただいたうえで,免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)(献血ベニロンⓇ-Ⅰ,400mg/kg/回,5日間)を再初診翌日より施行したところ,治療後速やかに視力の改善を認め,右眼視力は(1.2)まで改善した。その後,後療法を全く行わずに再発なく視力は維持されている。抗MOG抗体陽性視神経炎において再発を繰り返す症例に対してIVIGは再発時の治療効果も期待され,今後の治療選択において一考の必要があると思われた。
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