特集 アイペイン:研究の最前線と日常診療
2 ドライアイとアイペイン
鄭 有人
1
1東邦大学医学部 生理学講座 統合生理学分野/同 眼科学講座
キーワード:
ドライアイ
,
アイペイン
,
neuropathic ocular pain
,
神経障害性疼痛
,
三叉神経
,
神経−グリア連関
Keyword:
ドライアイ
,
アイペイン
,
neuropathic ocular pain
,
神経障害性疼痛
,
三叉神経
,
神経−グリア連関
pp.1235-1241
発行日 2025年11月5日
Published Date 2025/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004443
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ドライアイは「様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり,眼不快感や視機能異常を生じ,眼表面の障害を伴うことがある」と定義され,その診断基準は「フルオレセイン染色によるBUT 5秒以下かつ自覚症状(眼不快感または視機能異常)を有する」とある1)。疫学調査の報告によると,日本のドライアイの有病率は男性12.5%,女性21.6%で女性に多く2),他の報告でもおおよそ1.73~2.34倍女性のほうが多いとされる。難治性ドライアイのなかには,「neuropathic ocular pain(NOP)」や「corneal neuropathic pain」と呼ばれる,神経障害性疼痛(+痛覚変調性疼痛?)が関わる病態の存在も指摘されている3)。またMGD(meibomian gland dysfunction)との連関を指摘され,より複合的な治療も求められている。パソコンなどのVDT作業が多くなり,超高齢社会となった現代日本においては,ドライアイ患者数も増加しており,QOLに関与するドライアイの治療的意義も重要である。日本においてはTFOD/TFOT(tear film oriented diagnosis/tear film oriented therapy)に基づきドライアイ治療を行っているが,今後は自覚症状を改善させる治療がさらに発展し,臨床応用されることが予想される。本稿では「NOP」の病態や治療について紹介し,ドライアイとアイペインの現在と未来について紹介する。

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