総説
アイペイン
山西 竜太郎
1
1慶応義塾大学医学部眼科学教室
pp.16-21
発行日 2019年11月8日
Published Date 2019/11/8
DOI https://doi.org/10.34449/J0042.14.02_0016-0021
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痛みについて,国際疼痛学会は「実際に何らかの組織損傷が起こった時,あるいは組織損傷が起こりそうな時,あるいはそのような損傷の際に表現されるような,不快な感覚体験および情動体験」と定義している1)。痛みは侵害受容性疼痛(nociceptive pain),神経因性疼痛(neuropathic pain),心因性疼痛(psychogenic pain)の3つに分けられる2)。このうち,神経因性疼痛は「体性感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」と定義されている3)(図12),2)。神経因性疼痛を引き起こす要因は,外傷性,腫瘍性,代謝性,感染性など多岐にわたり,ヘルペスウイルス感染による帯状疱疹後神経痛は眼科においてもしばしば遭遇する。それ以外にも眼科の日常診療で接する患者において,眼疼痛(アイペイン:eye pain)を訴える割合は少なくない。各種検査や入念な診療を行っても,患者の疼痛の程度と診察所見が乖離する症例が存在する。その乖離を説明する概念として,Rosenthalらによって神経因性眼疼痛(neuropathic ocular pain:NOP)が報告された4)。また,Galorらが神経因性眼疼痛とドライアイ症状の共通点に関する総説を報告しており,両者ともに角膜の神経末端の知覚異常や体性感覚異常によって引き起こされることがわかってきた5)。
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