特集 眼科外来診療 ―クリニックでの対応と紹介のタイミング―
Ⅳ 網膜硝子体 18 近視性牽引黄斑症の見極め方
井上 真
1
1杏林大学医学部眼科学教室
キーワード:
近視性牽引黄斑症
,
中心窩剥離
,
網膜分離
,
緑内障
Keyword:
近視性牽引黄斑症
,
中心窩剥離
,
網膜分離
,
緑内障
pp.1323-1326
発行日 2024年11月14日
Published Date 2024/11/14
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003889
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近視性牽引黄斑症は強度近視眼で硝子体牽引によって網膜分離が生じ,中心窩剥離から黄斑円孔となって黄斑円孔網膜剥離に進行する病態である。症例によってはこの進行過程を呈さないこともあると考えられるが,機序を理解するうえではこの進行過程はわかりやすい。黄斑円孔網膜剥離まで進行すると視力予後が不良となるため,視力予後を考えた治療介入が重要である1)2)。強度近視眼では後部ぶどう腫,網脈絡膜萎縮,intrachoroidal cavitation,傾斜乳頭など近視性牽引黄斑症のほかの病態も合わさり複雑になっている。緑内障眼ではしばしば視神経乳頭から連続する網膜分離を生じている場合がある。本邦の場合はほとんどが正常眼圧緑内障である3)。近視眼は緑内障のリスク因子でもあり,治療を考えるうえでも潜在的な緑内障の合併には注意する。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.