症例報告
特発性上強膜静脈圧上昇による続発開放隅角緑内障の1症例
松浦 信大郎
1,2
,
田片 将士
2
,
横山 弘
2
,
関谷 友宏
2
,
五味 文
2
1神戸掖済会病院眼科(兵庫県)
2兵庫医科大学眼科学教室
キーワード:
続発緑内障
,
片眼性強膜血管怒張
,
特発性上強膜静脈圧上昇
,
線維柱帯切除術
,
secondary glaucoma
,
IEEVP
Keyword:
続発緑内障
,
片眼性強膜血管怒張
,
特発性上強膜静脈圧上昇
,
線維柱帯切除術
,
secondary glaucoma
,
IEEVP
pp.697-704
発行日 2024年7月5日
Published Date 2024/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003701
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片眼性の強膜血管怒張および眼圧上昇を認め,除外診断により特発性上強膜静脈圧上昇による続発緑内障と診断した症例を報告する。患者は61歳女性,片眼の充血を主訴に近医を受診した。薬剤抵抗性がある眼圧上昇,視野障害,片眼性強膜血管怒張を指摘された。2次的に眼圧が上昇し,片眼性強膜血管怒張をきたす疾患としては,内頸動脈海綿静脈洞瘻,静脈洞血栓,Sturge-Weber症候群,甲状腺眼症などがある。本症例では頭部外傷既往や高血圧症などはなく,血液検査でも各種血管炎や炎症所見,甲状腺機能異常は認めなかった。各種除外診断を行い,特発性上強膜静脈圧上昇に起因する続発開放隅角緑内障と診断し,水晶体再建術および線維柱帯切除術を施行した。術後経過ではレーザー切糸施行後に浅前房が生じ,眼圧上昇を認めた。毛様体ブロックと診断し,27G経毛様体扁平部硝子体切除術を施行したところ,前房深度は回復し,眼圧は一桁台後半で安定した。その後は外来で経過観察中に濾過胞癒着を認め,ニードリングを施行した。現在はブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合点眼を併用している。本疾患は薬剤抵抗性があり,手術施行後も眼圧コントロールに難渋するケースが多い。また,確定診断が難しい場合も多く,本疾患を考慮した場合には眼圧管理を含めた術後管理や術後黄斑浮腫などをきたす可能性を念頭に,より慎重に管理すべきと考えられた。
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