症例報告
結膜粘液腫の2例
砂田 潤希
1
,
田邉 美香
2
,
秋山 雅人
2
,
吉川 洋
2
,
山元 範昭
3
,
木村 和博
1
,
園田 康平
2
1山口大学大学院医学系研究科眼科学
2九州大学大学院医学研究院眼科学分野
3九州大学大学院医学研究院形態機能病理学
キーワード:
結膜粘液腫
Keyword:
結膜粘液腫
pp.683-687
発行日 2024年7月5日
Published Date 2024/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003699
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結膜粘液腫は間葉由来のまれな良性腫瘍である。今回われわれは,結膜粘液腫の2例を経験したため報告する。
症例1は48歳男性。左眼の結膜充血を主訴に近医を受診し,左眼の耳側結膜下に隆起性の病変を指摘された。炎症性疾患と考えられ,ステロイド点眼治療が行われるも改善がなく,精査のため九州大学眼科に紹介となった。切除生検を行ったところ,腫瘍は結膜や強膜との癒着はなく摘出は容易であった。病理所見では線維組織を伴う紡錘形の腫瘍細胞を認めた。免疫染色でCD34陽性,α-SMA,デスミン,S-100蛋白は陰性であり,粘液腫と診断した。切除後,20か月間再発はなかった。
症例2は49歳男性。右眼の結膜充血と腫瘍を主訴に近医を受診し,右眼の耳側結膜下に隆起性の病変を指摘され,嚢胞を疑われ穿刺を施行されるも内容物の排出はなく,精査のため九州大学眼科に紹介となった。切除生検を行ったところ,腫瘍は結膜や強膜との癒着はなく摘出は容易であった。病理所見では間質を伴う紡錘形の腫瘍細胞と星細胞を認めた。アルシアンブルー染色で陽性であり,免疫染色でCD34陽性,α-SMA,デスミン,S-100蛋白は陰性であり,粘液腫と診断した。切除後,21か月経過した現在,再発なく経過している。
結膜腫瘍では結膜粘液腫の可能性も念頭に置き診断と治療を進める必要がある。
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