４ 涙道閉塞の外科的治療と細菌叢

涙道閉塞は結膜細菌叢に変化をもたらす1）～4）。涙道閉塞による涙液滞留が細菌増殖と病原性細菌の出現による結膜汚染を引き起こすと考えられている。Hartikainenら1）は，鼻涙管閉塞によりグラム陰性菌の割合が増加することを示した。その他，鼻涙管閉塞患者の結膜培養からさまざまな病原性微生物が分離されている3）4）。また，慢性涙嚢炎では，表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌のようなグラム陽性球菌が増加することも報告されている3）5）。さらにmethicillin-resistant Staphylococcus aureus（MRSA）などの薬剤耐性菌も多く検出される6）。したがって，涙道閉塞がある場合は，眼内手術前に治療を受けることが望ましく，術後眼内炎のリスクを低減するための措置として一般的に受け入れられている1）～4）。