特集 OCTによる緑内障診療アップデート
3 緑内障診療におけるOCTを用いた鑑別診断
須田 謙史
1
1京都大学大学院医学研究科眼科学教室
キーワード:
緑内障
,
OCT
,
視神経症
,
視神経萎縮
,
視野欠損
Keyword:
緑内障
,
OCT
,
視神経症
,
視神経萎縮
,
視野欠損
pp.1179-1189
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003354
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
緑内障は本邦における中途失明原因疾患の第1位であり1),多治見疫学研究によれば40歳以上の5%が罹患している疾患である2)。必然的に,数ある視神経症の原因としては圧倒的多数を占めており,視神経症を認めた場合にはまず緑内障を疑って間違えることは少ない。しかし,緑内障以外が原因の視神経症に対して適切な治療を行わなかった場合,不可逆的な視機能障害をきたしたり,不要な緑内障治療を強いられたりすることにより対象患者のQOV・QOLを損ねる可能性がある。そのため,緑内障を疑った際に視神経萎縮の鑑別として他の視神経症の原因を探索することは緑内障診療を行ううえで重要な項目のひとつである。実際には急性発症の視神経症では発症直後は乳頭腫脹を伴うことが多いため,萎縮期では既に活動性が低下している状態のことが多い。ただし視神経萎縮の原因が虚血性視神経症や視神経炎であった場合には再発や僚眼発症の可能性があるため,病因を特定したうえで経過観察を継続することには意味がある。
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.