特集 知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防
Ⅰ 角結膜 7 角膜移植後の拒絶反応
平山 雅敏
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.942-944
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003288
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角膜移植後の拒絶反応とは,レシピエントのリンパ球が主となり,移植されたドナー角膜組織を攻撃する炎症反応である。ドナー角膜組織には,レシピエントが非自己とみなす同種異系(allo)抗原が存在する。レシピエントの角膜輪部に存在する抗原提示細胞は,ドナー角膜組織のallo抗原を取り込み,レシピエントの角膜周辺部に形成されたリンパ管血管を介して頸部リンパ節に到達する。リンパ節では,非自己と認識されたallo抗原に対するTリンパ球がクローナルに増殖する。Tリンパ球はドナー角膜の上皮や実質,または前房から内皮面に接着し,ドナー細胞を攻撃する炎症反応を惹起する。拒絶反応によりドナー細胞が破壊されると,角膜内皮細胞の減少や移植片の混濁を生じ,移植片不全となる。拒絶反応の鑑別疾患には,角膜ヘルペスやサイトメガロウイルス角膜内皮炎,ぶどう膜炎,真菌感染などがある。
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