Japanese
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連載 眼の組織・病理アトラス・149
角膜移植拒絶反応
Corneal graft rejection
猪俣 孟
1
Hajime Inomata
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.244-245
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906211
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角膜移植comeal transplantationの透明治癒率は比較的高いが,まだ100%ではない。角膜移植片の混濁は,発症機序と関係して出現時期が異なり,早期,中期,晩期に分けられる。早期混濁は手術直後から起こるもので,内皮細胞の不適,もしくは内皮細胞の術中損傷による。中期混濁はいったん透明治癒したものが術後約3週間以降に突然移植片に混濁を生じるもので,主として免疫拒絶反応が原因である。晩期混濁は角膜移植後数年ないし十数年後に起こるもので,多くは宿主側の疾患,例えば角膜ヘルペスや角膜変性が移植片に及んで混濁する。
角膜移植拒絶反応corneal graft rejectionには,周辺型とびまん性型の2通りがある。周辺型は移植片の一端から混濁が起こりはじめ,徐々に進行して全体に及ぶもので,混濁がはじまる部位に向かって宿主角膜に血管新生を伴う(図1)。移植片の混濁部と透明部の境界が明瞭で,いわゆる拒絶線rejection line (Khodadoust lineとも呼ぶ)が観察され,その境界線上に多数の角膜後面沈着がみられる(図2)。びまん性型は移植片全体が最初から一様に混濁してくるもので,宿主角膜には血管新生を伴わないこともある。
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