特集 知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防
Ⅰ 角結膜 3 角膜移植後の眼圧上昇
愛知 高明
1
,
外園 千恵
1
1京都府立医科大学眼科学教室
pp.925-929
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003284
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角膜移植は全層角膜移植(penetrating keratoplasty:PKP)に始まり,近年は深層層状角膜移植や角膜内皮移植といった角膜パーツ移植など,過去数十年の間に著しく発展してきた。角膜保存法,手術手技の進歩にもかかわらず,依然として角膜移植後の合併症にしばしば遭遇する。特に,緑内障は角膜移植後に生じる重大な合併症のひとつである。緑内障は視神経障害によって不可逆的な視力低下を引き起こし,また,眼圧上昇は角膜内皮細胞の減少と移植片不全のリスクを高める1)。緑内障を早期に発見し,適切に治療を行うことは,視機能を維持するために必要不可欠である。一方で,角膜疾患のために眼底の透見性が不良であり,正確な眼圧測定が難しいために,角膜移植後の緑内障の診断と治療はしばしば困難である。PKP後はパーツ移植と比較して,ステロイド緑内障などで眼圧上昇をきたすリスクが高い。そこで本稿では主にPKP後の眼圧上昇,緑内障の発症率,そのメカニズムおよび対策について考察する。
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