特集 近視性牽引性黄斑症の診断と治療
3 近視性牽引性黄斑症の治療適応
伊藤 逸毅
1
1藤田医科大学眼科
キーワード:
近視性牽引性黄斑症
,
近視性中心窩網膜剥離
,
黄斑円孔網膜剥離
,
近視性網膜分離
Keyword:
近視性牽引性黄斑症
,
近視性中心窩網膜剥離
,
黄斑円孔網膜剥離
,
近視性網膜分離
pp.135-139
発行日 2023年2月5日
Published Date 2023/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003024
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近視性牽引性黄斑症(myopic traction maculopathy:MTM)は,強度近視眼における黄斑部網膜への牽引により発症する種々の病態である(表1)1)2)。牽引の原因としては,後部硝子体,黄斑前膜,内境界膜,網膜血管などが考えられており3),硝子体手術では後部硝子体,黄斑前膜,内境界膜の処理が行われる。しかし,近視性牽引性黄斑症では黄斑部網膜が眼軸延長,後部ぶどう腫形成により拡大した黄斑部を覆いきれず常に水平方向の牽引(tangential traction)がかかっており,そのために黄斑円孔などの合併率も高い。また,手術手技的に類似している黄斑前膜や特発性黄斑円孔の手術とは大きく異なり,内境界膜が薄く4)剥離中にちぎれやすい,萎縮性眼底で内境界膜の視認性が悪い,眼軸が長く鑷子の操作がやりにくい,など手術の難易度も高い5)。
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