私の経験
軽度異型を伴い急速に増大した小児結膜母斑の1例
若山 典子
1
,
住岡 孝吉
1
,
髙田 幸尚
1
,
山口 雄大
2
,
三笠 友理奈
3
,
岡田 由香
4
,
雑賀 司珠也
1
1和歌山県立医科大学眼科学講座
2済生会有田病院眼科(有田郡湯浅町)
3和歌山県立医科大学人体病理学講座
4和歌山県立医科大学附属病院紀北分院眼科
キーワード:
小児
,
結膜母斑
,
異型
,
pediatric
,
conjunctival nevus
,
atypia
Keyword:
小児
,
結膜母斑
,
異型
,
pediatric
,
conjunctival nevus
,
atypia
pp.1017-1021
発行日 2022年10月5日
Published Date 2022/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002825
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病理組織検査で確定診断に至った軽度異型を伴う小児結膜母斑の1例を経験したので報告する。
症例は11歳女児。201X年6月左眼耳側球結膜に2.4×3.6mmの赤色隆起性病変を認め,和歌山県立医科大学附属病院眼科(当院)を紹介受診し,結膜母斑と臨床診断したが病理組織検査は希望されなかった。201X+1年末頃から同部位の急速な増大がみられ,201X+2年2月当院再診となった。当院再診時,左眼耳側結膜に栄養血管の侵入を伴う5.5×6.1mmの赤褐色隆起性病変を認め,色調は201X年当時よりも赤色調が強くなり,隆起は増大し侵入血管は増加していた。前眼部光干渉断層計では病変内に数個の嚢胞様所見を伴っていた。栄養血管を認め,短期間で増大していることから悪性腫瘍も否定できないため,201X+2年3月病理組織検査目的で腫瘤切除した。病理組織検査から,上皮下間質など広範囲でSOX10抗体陽性,深部を中心とした一部でHMB-45抗体が弱陽性,MIB-1抗体が約3%と軽度上昇しており,軽度の細胞異型を伴うメラノサイトを複合する結膜母斑と診断された。切除5か月後,再発もなく経過良好である。
結膜母斑は急速な増大がみられた症例でも小児の場合は悪性化の可能性は極めて低いと思われるが,病理組織検査によって母斑であることを証明することができれば,より安心と考えられる。
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