原著論文
前部眼瞼炎に対するアジスロマイシン点眼の治療効果の検討
﨑元 暢
1
,
田中 義和
1
,
杉浦 毅
1
1杉浦眼科(富士市)
キーワード:
前部眼瞼炎
,
ブドウ球菌性眼瞼炎
,
脂漏性眼瞼炎
,
アジスロマイシン
Keyword:
前部眼瞼炎
,
ブドウ球菌性眼瞼炎
,
脂漏性眼瞼炎
,
アジスロマイシン
pp.875-880
発行日 2022年9月5日
Published Date 2022/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002780
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前部眼瞼炎に対するアジスロマイシン点眼の治療効果について検討した。2020年11月から2021年8月までの10か月間に当院で前部眼瞼炎と診断され,アジスロマイシン点眼を処方後3~21日以内に再診した患者38例38眼をレトロスペクティブに検討した。既報に準じて点眼前後の他覚的所見・自覚症状を診療録・前眼部写真に基づき眼局所用抗菌薬の臨床評価方法に関するガイドラインを用いて評価した。治療効果の判定も同ガイドラインの有効性判定基準に準じ,他覚的所見・自覚症状の合計スコアが点眼前に比べ1/4以下となった例を著効,1/2以下を有効,そして1/4~0を不変,スコアが増加した場合を悪化と定義し検討した。平均投与期間は11.4±4.5日であった。著効が18眼(47.3%),有効以上が30眼(78.9%),不変が6眼(15.8%),悪化が2眼(5.3%)であり,点眼後の自覚症状スコアが0すなわち症状消失例が20眼(52.6%)であった。また,異物感・流涙といった眼瞼炎症状に対してドライアイ治療薬や抗菌薬,副腎皮質ステロイド薬点眼などの前治療歴を有する例が26眼あり,そのうち21眼(80.8%)においてアジスロマイシン点眼に変更することで有効以上の治療効果が得られていた。前部眼瞼炎は異物感や流涙を訴える傾向があり,そのような症例に対してもアジスロマイシン点眼は有効であると考えられた。
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