トピックス
アジスロマイシン
井上 松久
1
,
岡本 了一
1
1北里大学医学部微生物学教室
pp.1066-1068
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902928
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はじめに
マクロライド系薬は,代表的薬剤であるエリスロマイシン(EM)が臨床応用されて以来,40数年にわたり,いくつかの天然マクロライドあるいはその誘導体が開発され,主にグラム陽性菌やマイコプラズマなどに対する優れた抗菌力と,副作用が少ないことから,呼吸器感染症に対して広く用いられている.1980年代に入り,マクロライド系薬の半合成の研究が進み,EMの誘導体としてクラリスロマイシン(CAM)やロキシスロマイシン(RXM)などが開発された.これらの薬剤は,従来のマクロライド系薬に比べて抗菌力はそれほど改善されていないが,持続的な血中濃度と良好な組織移行性など,優れた体内動態を有することから,“ニューマクロライド”として臨床的に高く評価されている.
アジスロマイシン(AZM)は,EMにメチル置換窒素を導入した15員環マクロライド(アザライド系とも呼ばれる)で,抗菌スペクトルの拡大と強い抗菌力,および優れた体内動態が評価されて現在臨床治験中の新薬である.ここではAZMの特徴について述べる.
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