小さな工夫
ヘッドマウント型ディスプレイを用いた内視鏡手術
宮原 誠
1
,
中島 洋介
1
1慶應義塾大学伊勢慶應病院泌尿器科
pp.74
発行日 1997年1月20日
Published Date 1997/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901972
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近年,TUR-PやTUL,腹腔鏡などの内視鏡手術の際は,内視鏡の接眼レンズにCCDカメラを装着して,テレビモニターを観察しながら行う方法が主流と思われる。最近ソニーより発売されたパーソナルLCDモニター「グラストロン」は,小型の液晶画面をもつディスプレイ部を頭部に装着し,ビデオなどのカラー映像を見ることができる個人用ヘッドマウント型ディスプレイ(標準価格は88,000円)であり,52型画面を約2メートル先に見るような迫力で映像を観察できる(図1)。ディスプレイを装着したままでも外部の様子が見られるシースルー機能が搭載され,また眼鏡をかけたままでも装着可能である。われわれは,TUR-P やPNLの手術の際に使用してみたが,大きな画面は画質もよく鮮明で,非常に有用であった(図2)。シースルー機能のため,グラストロンをつけたまま手元の確認もでき,安全面でも問題はない。TUR-PやTULでは,1台のモニターを直接見れば何ら支障ないが,腹腔鏡手術でモニターが1台しかない場合,助手が不自然な体位を強いられることがある。こうした時,グラストロンを装着すれば楽な体勢で手術ができる。また,グラストロンを装着すると,術野以外の手術室の景色がシャットアウトされるため,手術により集中できる利点もある。近未来映面の観すぎであるなど,種々のご批判もあろうが,今後上手に使えば非常に有効な機器と思われる。
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