症例報告
選択的血漿交換療法が著効した抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎の1例
中井 郁華
1
,
川守田 光世
1
,
北川 順久
1
,
服部 隆幸
1
,
江口 友英
2
,
三木 隆弘
2
,
中静 裕之
1
1日本大学医学部視覚科学系眼科学分野/日本大学病院眼科
2日本大学病院臨床工学室
キーワード:
抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎
,
選択的血漿交換療法
,
anti-aquaporin-4 antibody-positive optic neuritis
,
AQP4
,
selective plasma exchange
,
SePE
Keyword:
抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎
,
選択的血漿交換療法
,
anti-aquaporin-4 antibody-positive optic neuritis
,
AQP4
,
selective plasma exchange
,
SePE
pp.473-479
発行日 2022年5月5日
Published Date 2022/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002622
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ステロイドパルス療法で視機能改善に乏しく,選択的血漿交換療法(selective plasma exchange:SePE)が有効であった抗アクアポリン(aquaporin:AQP)4抗体陽性視神経炎を経験したので報告する。
症例は44歳女性。受診1か月前からの右眼視覚障害を自覚し来院した。初診時視力は右眼(0.02),左眼(1.2),相対的瞳孔求心路障害は右眼陽性,右眼に眼球運動痛があった。眼底検査では,右眼高血圧網膜症Keith-Wagner分類Ⅱb群と右眼視神経炎に伴う視神経乳頭の軽度な発赤を認めた。Goldmann視野検査(GP)では右眼に耳側周辺を残して視野欠損を認めた。血液検査で抗AQP4抗体陽性,初診時頭部MRIでは特記すべき異常なく,右眼抗AQP4抗体陽性視神経炎と診断した。
ステロイドパルス療法2クール施行後,自覚症状・視機能改善に乏しく,視力は右眼(0.01)と不良であったため血液浄化療法を施行した。体重91.1kgで循環血漿量が多いこと,血液浄化療法の複数回の施行が予想されたこと,初診時未治療の高血圧ならびに糖尿病が発見され,基礎疾患が多いことからSePEを選択した。SePEを4回施行後,視力は右眼(0.3),左眼(1.2)と改善し,GPで周辺視野も著明に改善した。
ステロイド治療抵抗性の抗AQP4抗体陽性視神経炎に対し血液浄化療法が有効であった。
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