特集 現代医学・生物学の仮説・学説
5.神経科学
イオンチャネル
赤池 紀扶
1
1東北大学医学部病態生体情報学講座
pp.536-537
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900633
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概説
イオンチャネルはNa+,K+,Ca2+やCl-チャネル,イオン選択性の少ない非特異的チャネルに分類され,ゲート開閉機能の違いにより電位依存性と化学刺激依存性に大別される。さらに後者は①化学物質が受容体に結合して賦活される受容体作動型,②受容体に共役したG蛋白による制御型,③細胞内活性物質による制御型に細分される。
Na+チャネルは活動電位による情報伝達を行い,電位依存性にチャネルを開(活性化)・閉(不活性化)し,Na+を選択的に透過させる。分子構造上は,相同性の高い4つのユニットからなり,各ユニットは6つのセグメントで構成され,電位センサー部,フグ毒結合部,イオン透過孔部,イオンを選択するフィルター部や不活性化に関与する部位が同定されている。アミノ酸配列のわずかの違いで機能の違いがもたらされ,たとえば,哺乳動物心筋のNa+チャネルは神経や骨格筋のそれとは異なり,フグ毒感受性が100~1000倍も低い。
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