特集 角膜実質細胞研究リビジット
3 創傷治癒
住岡 孝吉
1
,
岡田 由香
2
,
雑賀 司珠也
1
1和歌山県立医科大学眼科学講座
2和歌山県立医科大学附属病院紀北分院眼科
キーワード:
角膜実質細胞
,
創傷治癒
,
筋線維芽細胞
,
TGF-β
,
マトリセルラー蛋白質
,
TRPチャネル
Keyword:
角膜実質細胞
,
創傷治癒
,
筋線維芽細胞
,
TGF-β
,
マトリセルラー蛋白質
,
TRPチャネル
pp.541-546
発行日 2024年6月5日
Published Date 2024/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003654
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角膜は光の屈折を担う視覚系の構成要素として眼球の表面を覆っており,その透明性が重要な組織である。しかし,ひとたび外傷や高度な炎症をきたすと線維・瘢痕化をきたす恐れがあり,視力障害や屈折異常による視機能の低下を招き得る。角膜の創傷治癒は角膜実質細胞を含む複雑なプロセスによって調節されているが,基本的な細胞の挙動は他組織の線維芽細胞に類似している。しかし,治癒組織の強度が優先される皮膚などと異なり,角膜では透明性と瘢痕収縮の弱さが治癒後の視機能回復に寄与する。角膜実質の損傷での治癒過程では,炎症惹起に引き続き実質細胞が筋線維芽細胞に転換されることが軸となる。筋線維芽細胞の主な機能は,①細胞外マトリックスの過剰産生と組織混濁,および②細胞収縮による実質組織の収縮と変形,の2点である。
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