特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅱ.眼球運動障害 1.眼運動神経麻痺
須田 謙史
1
1京都大学大学院医学研究科眼科学
pp.1341-1348
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002416
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「眼運動神経麻痺」は眼球運動を支配している3つの脳神経である動眼神経,滑車神経,外転神経のいずれかが障害される疾患の総称である1)。基本的には各神経の神経線維が障害されている病態(核下性)を指していることが多く,中脳に存在する神経核の障害(核性)もしくは各神経核への入力の障害(核上性)は「眼運動神経麻痺」の概念から除外されることもある2)。「眼運動神経麻痺」は循環,外傷,腫瘍や血管による圧迫などさまざまな病因があるが,障害されている脳神経によって原因の頻度が異なる。本稿では,はじめに各脳神経の解剖を概説し,各脳神経の障害部位の特徴や複合麻痺の可能性を示す。次に「眼運動神経麻痺」の疫学と病因について述べた後,それぞれの眼運動神経麻痺や病因に特徴的な初発症状や検査所見について述べる。最後に「眼運動神経麻痺」を構成している動眼神経麻痺,滑車神経麻痺,外転神経麻痺のそれぞれの鑑別疾患と初期対応に関して論じる。
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