特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅱ.眼球運動障害 2.眼筋型重症筋無力症
石川 裕人
1
,
三村 治
2
1みらい眼科皮フ科クリニック(大阪市)/兵庫医科大学眼科学教室
2兵庫医科大学眼科学教室
pp.1349-1355
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002417
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重症筋無力症myasthenia gravis(MG)は全身の自己免疫疾患でありながら,眼瞼下垂や斜視・眼球運動障害などの眼症状で初発し,眼科医を初診することが大部分である。最近では高齢発症のMGが増加しており,新たに診断されるMGの50%以上が65歳以上で,しかも眼筋型が多いとされている1)。また,日本神経学会の重症筋無力症診療ガイドラインにおいても,眼筋型MGとして発症した患者の50~60%が2年以内に全身型MGに発展するとされている2)。しかし,神経眼科医が眼筋型MGの診療を続けていても,全身型MGに発展する患者は10%前後に留まる。兵庫医科大学病院眼科(兵庫医大眼科)の統計で,抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性者52例に限定しても11例21%である3)。同時期の兵庫医大眼科における抗体陰性者を含めた全眼筋型MG 139例の,全身型MGへの発展率はわずか12例8.6%にすぎない(未公表データ)。リスクとベネフィットのバランスを含めたoutcome評価の十分なエビデンスはないとされつつも,ステロイドを含め免疫抑制薬の早期からの投与は眼筋型MGの全身型への発展確率を減少させるとの報告は非常に多く2),眼筋型MGの早期診断は非常に重要である。
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