特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅰ.視神経疾患 12.栄養障害性視神経症
栗本 拓治
1
1神戸大学医学部眼科学教室
pp.1318-1323
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002413
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現代社会においては,栄養障害性視神経症はまれな疾患であり,日常臨床では見逃されやすく,微量栄養素の欠乏による全身の代謝障害に併発する視神経症である。古くは,飢饉や戦争時に流行的に患者数が増加していた。1880年代のジャマイカのサトウキビ農夫やナイジェリアでの主食のキャッサバの栄養不足が主因の栄養性弱視,キューバ,タンザニアで起こったpandemic optic neuropathyなどが挙げられる。特に1991年~1993年に起こったキューバでの流行では,全人口の0.5%にあたる50,000人以上の国民が発症したと報告されている1)。近年では,先進国において肥満外科手術後や菜食主義者の症例が増加してきている2)3)。臨床症状は,Leber遺伝性視神経症や中毒性視神経症のようなミトコンドリア異常による視神経症と類似しているのが特徴である。
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