綜説
慢性再発性炎症性視神経症(CRION)について
栗本 拓治
1
1神戸大学大学院医学研究科眼科学
キーワード:
視神経炎
,
慢性再発性炎症性視神経症
,
視神経脊髄炎関連疾患
,
抗MOG抗体
Keyword:
視神経炎
,
慢性再発性炎症性視神経症
,
視神経脊髄炎関連疾患
,
抗MOG抗体
pp.505-508
発行日 2019年5月5日
Published Date 2019/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001169
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2003年に,Kiddらは激しい頭痛,眼痛を有し,頭部MRIで脳内に異常所見を認めず,ステロイド依存性に再発と寛解を繰り返す片側性あるいは両側性の視神経炎15例をchronic relapsing inflammatory optic neuropathy:CRIONと称し,初めて報告した1)。2014年にはPetzoldらは,既報のCRION 122症例のsystematic reviewより,視神経炎の再発の有無,明らかな視機能低下,造影MRIによる視神経の炎症性変化の検出,抗アクアポリン4(AQP4)抗体が陰性,免疫抑制剤に反応し,減量・中止により再発することの5項目を診断基準として提唱している。現在でもこの診断基準が広く用いられている2)。CRIONの特異的自己抗体は同定されておらず,診断に有用な生体指標はない。そのため,前述の診断基準には,他の中枢神経疾患ならびに全身疾患を除外することが前提となる。最近のToosyらが提唱している視神経炎分類では,CRIONは多発性硬化症やclinically isolated syndromeによる視神経炎の典型的視神経炎ではなく,視神経脊髄炎(NMO),全身疾患に伴う視神経炎などの非典型的視神経炎に分類されている3)。
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