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慢性再発性炎症性視神経症(chronic relapsing inflammatory optic neuropathy:CRION)は,2003年にKiddらによって,眼痛・頭痛を訴え,頭部MRI(magnetic resonance imaging)に異常がなく,ステロイド依存性に寛解・増悪を繰り返す,片眼性または両眼性の炎症性の視神経症として初めて提唱された1)。その後,視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)の特異抗体である抗アクアポリン(AQP)4抗体の存在が明らかとなり2)3),PetzoldらはCRIONの診断基準を,①炎症性の視神経炎があり,1回以上の再発があるもの,②抗AQP4抗体陰性,③MRIの脂肪抑制T2強調画像や造影MRIで視神経が高信号を呈すること,④副腎皮質ステロイド治療によく反応するが,中止や減量に伴い視神経炎が再発すること,と提案している4)。視神経内に存在するグリア細胞のオリゴデンドロサイトの表面には,髄鞘蛋白であるミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin-oligodendrocyte glycoprotein:MOG)が豊富に発現している。最近の研究においてCRIONの患者では,このMOGに対する自己抗体である抗MOG抗体の陽性率が高いことがわかっており,CRIONは,MOGに対する自己免疫疾患として見解がまとまりつつある5)6)。再燃を繰り返す再発性視神経炎のうち,NMOだけではなく,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)も本症とは別の疾患との認識も広まってきており7),今後,抗MOG抗体陽性視神経炎との異同や疾患の分類については議論が必要なところである。
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