特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅰ.視神経疾患 1.視神経疾患総論
中村 誠
1
1神戸大学医学部眼科学教室
pp.1235-1243
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002402
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視神経は網膜神経節細胞(RGC)の軸索の集合体と,それを支持するグリア細胞(アストロサイト)や血管,細胞外基質,そしてそれを被覆する視神経鞘とその産生細胞(オリゴデンドロサイト)等から構成される。RGC軸索は網膜内,視神経,以降は視交叉,視索とマクロな解剖学的呼称を変えつつ,外側膝状体に投射する。その間,独特の走行をたどる。狭義の視神経疾患は解剖学的呼称の視神経の疾患といえるが,広義には,これら外側膝状体までの疾患を含むであろう。というのも,近年注目されている視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder:NMOSD)による視神経炎は,視交叉や視索も巻き込むことが知られていたり(図1),腫瘍などの圧迫性病変では視神経が視交叉に移行する場所の障害で接合部暗点をきたしたり,あるいは,視索の障害で特有の視機能異常や眼底異常をきたすからである。したがって,視神経疾患を理解するにはまず,視路の解剖の理解が不可欠である。視路の解剖を理解することで,特有の視機能障害パターンから,病変の局在診断が可能となる。
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