症例報告
急性の近視化を初発症状とした妊娠初期にみられた全身性エリテマトーデスの1例
長岡 広祐
1
,
高橋 宏典
1
,
渡辺 芽里
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
急性近視
,
全身性エリテマトーデス
,
妊娠
,
ネフローゼ症候群
,
acute myopia
,
systemic lupus erythematosus
,
pregnancy
,
nephrotic syndrome
Keyword:
急性近視
,
全身性エリテマトーデス
,
妊娠
,
ネフローゼ症候群
,
acute myopia
,
systemic lupus erythematosus
,
pregnancy
,
nephrotic syndrome
pp.577-582
発行日 2021年6月5日
Published Date 2021/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002161
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急性近視,眼瞼腫脹を契機に発見された妊娠初期の全身性エリテマトーデスの1例を報告する。25歳の女性が両眼の眼瞼腫脹,裸眼視力低下を主訴に受診した。視力は右眼0.09(1.2×−4.50D),左眼0.09(1.2×−3.50D),眼圧は右眼20mmHg,左眼19mmHgであった。妊娠5週相当であった。両眼瞼腫脹,顔面腫脹があり,前眼部は結膜浮腫,浅前房を認めた。前眼部光干渉断層計により,水晶体前方移動に伴う浅前房,狭隅角が確認された。超音波生体顕微鏡で毛様体剥離を認めた。眼底に異常はなかったが,光干渉断層計で脈絡膜の肥厚が観察された。眼軸長は右眼22.94mm,左眼22.96mmであった。低アルブミン血症および尿蛋白を認めたことから内科で精査され,全身性エリテマトーデスと診断され,ステロイド治療を開始された。ステロイド治療開始後より,経時的に眼瞼腫脹,結膜浮腫は改善し,浅前房,毛様体剥離,肥厚した脈絡膜厚も軽快し,8週後には右眼0.9(1.2×−0.75D),左眼0.9(1.2×−0.50D)と近視化も改善した。本症例にみられた急性の近視化は,全身性エリテマトーデスに伴う炎症とネフローゼ症候群による急激な低アルブミン血症により,毛様体浮腫が起こり,毛様体剥離に伴うZinn小帯の弛緩,水晶体前方移動により生じたものと考えられた。
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