白内障手術のトラブルシューティング
10.核硬度V,後嚢破損時の眼内レンズ挿入
岩西 宏樹
1
1和歌山県立医科大学眼科学教室
pp.457-462
発行日 2021年5月5日
Published Date 2021/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002128
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核が硬い白内障は手術難易度が高く,超音波乳化吸引に高度な技術が要求されるだけでなく,後嚢破損や核破砕に手間取ることで虹彩を誤吸引してしまうなど,術中に合併症への対策や対処を求められる場合がある。外来診察時から十分な対策や準備と患者への手術難易度の説明が必要である。また,核硬化度が高い核白内障では高度近視のことも多く,術者はZinn小帯の脆弱化に注意したい。核白内障は混濁の割に視力が維持されやすいため,しばしば,核硬化度が高い症例に遭遇する。一方で,黄斑に障害の及んでいる高度近視では白内障による視力低下を自覚しにくく,結果的に受診が遅れ,核硬化が進んでいる場合がある。本稿では,核が硬い白内障に対する術式選択,術中トラブルへの対処および後嚢破損時の眼内レンズ挿入について,本稿の対象とする初級~中級の白内障術者の参考になるようポイントを絞って記載させていただく。
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