綜説
裂孔原性網膜剥離─Japan-Retinal Detachment Registryの結果を踏まえて─
馬場 隆之
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1千葉大学大学院医学研究院眼科学
キーワード:
疾患レジストリ
,
ビッグデータ
,
リアルワールドエビデンス
,
裂孔原性網膜剥離
Keyword:
疾患レジストリ
,
ビッグデータ
,
リアルワールドエビデンス
,
裂孔原性網膜剥離
pp.355-359
発行日 2021年4月5日
Published Date 2021/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002088
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裂孔原性網膜剥離に対する硝子体手術はこの20年間で大きく進歩した。強膜バックリングと硝子体手術の有効性の比較は従来から取り上げられてきた重要なテーマであるが,術式の変遷とともに過去の研究結果が変わってくる可能性がある。ランダム化比較試験(RCT)は厳密な比較が可能である一方,実臨床との乖離が問題であり,多彩なベースライン所見を呈する裂孔原性網膜剥離に関してはRCTよりもリアルワールドデータが有用である。この考えのもと本邦では,2016年2月から2017年3月の間に疾患レジストリ(J-RDレジストリ)が行われ,全国から網膜剥離症例3,468症例の術後6か月までの実臨床データが登録された。本レジストリのデータ解析により,本邦における網膜剥離患者の特徴,年齢分布,術式選択,術式による復位成績の違い,視力予後の比較など,多くの結果が得られた。このビッグデータから興味深い新知見が見出されており,世界に向けたリアルワールドエビデンスの発信が進行中である。本稿では,このJ-RDレジストリの結果を踏まえて,今日の裂孔原性網膜剥離治療に関してレビューを行いたい。
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