症例報告
未破裂大型内頸動脈瘤による接合部暗点の1例
林 孝彰
1
,
森川 和彦
2
,
渡邊 充祥
3
,
長島 弘泰
3
1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科
2東京慈恵会医科大学葛飾医療センター放射線科
3東京慈恵会医科大学葛飾医療センター脳神経外科
キーワード:
接合部暗点
,
視野障害
,
視力障害
,
視交叉
,
視神経
,
脳動脈瘤
Keyword:
接合部暗点
,
視野障害
,
視力障害
,
視交叉
,
視神経
,
脳動脈瘤
pp.275-281
発行日 2021年3月5日
Published Date 2021/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002062
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視野異常に対して,頭部核磁気共鳴画像(MRI)および核磁気共鳴血管画像(MRA)検査を施行し,未破裂大型内頸動脈瘤が発見された症例について報告する。
症例は70歳,女性。左眼の視力障害および視野異常の精査目的で当院眼科を受診した。初診時,自覚症状はなかったが,矯正視力は右0.9,左0.7と若干の左視力低下を認めた。前眼部・中間透光体・眼底に,偽水晶体眼である以外異常所見はなかった。その後,単純頭部MRI・MRA検査が施行され,大脳部左内頸動脈に最大径18mmの未破裂大型嚢状動脈瘤を認め,その動脈瘤が上方に位置する視交叉および左方の左視神経を圧迫している所見がみられた。Goldmann動的視野で,右眼は耳側上方内部イソプタの沈下,左眼は盲点中心暗点に加え耳側上方内部イソプタの沈下がみられ,脳動脈瘤による接合部暗点と診断した。光干渉断層計検査で,逆行性変性の所見はみられなかった。
未破裂大型脳動脈瘤の早期発見は,くも膜下出血発症予防の観点から極めて重要である。視野異常の原因がはっきりしない症例に対しては,非侵襲的な頭部MRI・MRA撮像を行うことが重要である。
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