私の経験
偏食によるビタミンA欠乏症が原因と考えられた小児の角膜混濁の2例
青野 直央
1,2
,
細谷 友雅
1
,
岡本 真奈
1
,
五味 文
1
1兵庫医科大学眼科学教室
2兵庫県立尼崎総合医療センター眼科(尼崎市)
キーワード:
ビタミンA欠乏症
,
眼球乾燥症
,
偏食
,
神経発達障害
,
角膜混濁
,
尿路感染症
Keyword:
ビタミンA欠乏症
,
眼球乾燥症
,
偏食
,
神経発達障害
,
角膜混濁
,
尿路感染症
pp.1205-1210
発行日 2022年12月5日
Published Date 2022/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002901
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ビタミンA(VitA)欠乏症は日本ではまれな疾患である。今回われわれは,角膜混濁を主訴に眼科を受診し,偏食によるVitA欠乏症の診断に至った神経発達障害を有する小児の2例を報告する。
症例1は9歳男児。羞明による開瞼困難を主訴に受診した。両眼の眼球乾燥症と点状表層角膜症,角膜中央に上皮欠損を伴う混濁を認めた。尿路感染症の既往があり,偏食のため近医小児科でビタミン剤を処方されていたが血清VitA濃度の低下を認めた。VitAの内服を追加し上皮障害は速やかに改善した。
症例2は5歳男児。極度の偏食と尿路感染症により小児科で治療中であった。左眼の角膜混濁で受診し,両眼の眼球乾燥症と左眼の角膜潰瘍を認めた。眼脂培養から肺炎球菌が検出され細菌性角膜炎合併例と考えられた。血清VitA濃度の低下を認め,抗菌薬点眼とVitA内服で上皮障害は改善した。
VitA内服により短期間で改善を得られたことから,いずれもVitA欠乏症に伴う角膜潰瘍,角膜混濁,眼球乾燥症と診断した。2症例とも神経発達障害を有する男児で極度の偏食であり,尿路感染症の既往を有するのが特徴であった。原因不明の小児の角膜混濁を診たらVitA欠乏症も鑑別に挙げ,問診で食生活や偏食の有無を聴取することが重要である。
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